大学院で国際保健について研究しています。

カウンターパートとの距離

最近まで在宅週間でした。

ソロモンでの在宅医療は日本のように全く整っていません。

手術などして病院で数日入院した後は自宅に帰り、その後は基本的には家族が介護をします。
歩けない患者さんは病院に行けずフォローもきちんとできていません。

在宅に帰ってもリハビリはできないし家族のケアも十分には出来ないし
在宅で状態が改善するのは難しい状況。
薬は家族が病院まで取りに行けばもらえるようですが。

そんな状況のソロモンですが私のカウンターパートが在宅ケアをしているNCD患者をリストアップして時々足を向けています。

そんな彼女自身の活動も忙しく全くクリニックに来ないのですが、
最近それでも良いかと思うようになりました。

「ちひろがクリニックに居てくれるお陰で在宅を回ったりコミュニティー回ったり色々できてありがたい」
といつも感謝してくれます。
そして私を他人に紹介するときは’アシスタント’と言っています。
アシスタント・・・うーん、まぁ良いんだけど。

私の2年目の課題
「カウンターパートともっと近くなる」
カウンターパートの仕事をしている姿をきちんと見たいと思い、
一緒に彼女の活動についていくことにしました。
脳血管疾患、糖尿病壊疽による足切断後などの患者さんの家を月に1度まわっているそうです。

いずれもホニアラ市内からかなりはずれたコミュニティーの中に住んでいる患者さんばかり。
山道歩き、小川を渡り、ジャングルのような茂みを進み・・・ようやく家に辿り着く。
患者さんの家まで少なくとも1時間はかかる。。


電気水道は無くもちろん扇風機も無いものすごい湿気に真っ暗な家の中、シャワートイレも無い家ばかり。
ベッドも無く床で寝ている患者さん。車椅子の無い人も多い。
車椅子の代わりにハンモックに座っていたり。
例え命助かっても2次障害がすぐ起こってしまうだろうなという環境。
カウンターパートと一緒に生活環境を調査して、バイタルサイン測定と、ちょっとしたリハビリや褥瘡予防等の生活指導等してきました。



一人の患者さんはネズミに足をかじられてそこから壊疽に進み足切断に至りました。
ネズミが足をかじるというのはソロモンでは壊疽の原因の一つで大きな問題です。
糖尿病の患者さんの血液から甘い匂いが発せられ、ネズミがよってくるそうです。
寝る前に必ず足を綺麗に洗うとか、ココナツオイルはあまり塗らないようにするなどの指導も・・・。

一人は脳出血で半身麻痺になってしまった患者さん。
身体が思うように動かない事、言葉が思うように発せられない事に悔しくて泣いていました。

話を聞き、帰り際にtangio(ありがとう)と言われたときは嬉しかったです。


1週間彼女について回ったのですが、この活動を終えて一緒について行って良かったなと思いました。
まず、彼女がとってもコミュニティーの方々から頼られて信頼されている様子に彼女の普段の仕事ぶりが見えて来ました。
そして思った事は、
こうして時々情報交換しながらお互いの活動にアドバイスし合えるのならそれでも良いことだなぁと。

カウンターパートだからといって常に一緒に活動する必要はない。
私は自分の与えられた責任の中でやっていこうと思えました^^

私の活動の姿勢として、
看護師に助言をする、指導をすると要請内容にありましたが、全くそれはできていません。

正直現場の人たちの方が私よりももっと経験や知識があるし、みんなそれなりにプロ意識がある。
教えるというのではなく、お互いの持っている知識を交換できる。
そんなふうにお互いがスキルアップできれば良いのかなぁって思っています。

なので「こうした方が良いよ!」とか「こういう部分を変えた方が良い!」というような強い言い方ではなく、
「他にもこういう方法はあるけどどう思う?」というように、提案してみたり、
実際に‘やってみせる’というような形で伝えています。
その姿を見て、それも良いなと少しでも思って変えてもらえたら良いかなと。

これって日本人に対しても一緒だと思うけど、
人を変えるって簡単な事じゃないです。
強くこうしなさい!と言う威圧的な指導方法よりも、
相手の心をどう変えるかっていう方法考えた方が賢明だと思うんですよね。



そして、常に頼っている、信頼しているという姿勢を忘れずに。
彼らに色んな事を質問して、こちらの人たちから教えてもらうということを大切にしています。
彼らとてものんびりあんまり深く考えないように見える?けど、とても色んなことを知っています。
見下した態度とかバカにした態度って、すぐに気づくし心を開いてくれません。


以上、私の仕事への姿勢でした^^

在宅もとても興味があるんだけど、
そこまでは手を広げられないなと思うのでこうして時々カウンターパートと在宅を回りながら、
ベースはクリニックで責任持って患者さんをみていこうと思います。

うー仕事のことも他にも、やりたいことがたくさんあって全て手が回っていませんが、こつこつ頑張ります。



そして、先週新しいボランティアの方5名がソロモンに来られました。

期待と不安を胸に初めて私がソロモンに来た1年前を思い出しました。ブログを熟読してくれていた方も居て、私の事何でも知ってます!と言ってくれたり、ブログに書いていた事を参考にしてくれたりしたようで嬉しかったです。
でもソロモンについての情報量って本当に少ないのでブログって大きな情報源だったりするんですよね。

ソロモンでの現実は良い事ばっかりじゃないです。
マイナスなことはブログには書きたくないから書きませんが、辛いこと、泣く事、ストレスばかりの時期もあります。
そんな時期はブログを更新していない時期だったりします。

でも辛い時期を乗り越えれば、結局は笑っていてそれが良い方向に向かっていたりします。
そんな時にブログ書きたいなぁと思ったりします。

これからも良い情報源となれるようなブログになれば良いなぁと思ってます。

さらに新しいボランティア5名中3名が北海道出身!
同級生で近くの高校だった方もいました。
これでソロモンでのボランティア26名中、5名が北海道出身です。
なぜ北海道出身が多いのか???
寒い所に住んでいるから暑い場所へ憧れがあるんじゃないかという噂です。


まさかソロモンで共通の知り合いの話、函館の話、日高の昆布漁の話をするなんて。

私が高校3年生の時に函館に初の吉野屋が出来たという話で盛り上がり、
高校時代に友達と吉野屋目指してチャリとばして行列に並んだなぁとか小話をしみじみ思い出しました。

北海道を出てもう10年以上も経ちますが故郷への愛は変わらないですね。

幼少期住んでいた広尾町野塚の写真です。
日高山脈がとっても綺麗に見える本当に素晴らしい自然に囲まれた町です。