大学院で国際保健について研究しています。

ソロモン諸島での文化的違いによって起こった問題の克服

今週も瞬く間に時間が過ぎ去っていった、とても忙しい一週間でした。
今週は2つの英語のプレゼンテーションがあったのでその準備に追われました。

1つ目は、
WHO欧州事務局が作成・発表した、THE SOLID FACTS(確かな事実という意味)を読んで、
その中の一つのトピックに関わる文献を探し、
トピックの内容と文献の内容について話しましょうという課題。

SOLID FACTS(http://www.euro.who.int/__data/assets/pdf_file/0005/98438/e81384.pdf)の内容は、
①社会格差、②ストレス、③幼少期、④社会的排除、⑤労働、⑥失業、⑦社会的支援、⑧薬物依存、⑨食品、⑩交通 
について、その健康に与える影響が、どのように立証されているかを解説しています。

私は社会的ストレスによって心血管疾患が増加するという文献をフォーカスし、ストレスについて話しました。
プレゼンテーション後の質疑応答では日本人の労働時間の長さについても話が出ました。
これには国民性(勤勉性、連帯責任という考えなど)が深く関わっているから難しい、、
という話しになりました。



2つ目は
医療人類学の授業でcultural competencyについての授業の一環。
プレゼンテーションのタイトルは
「外国人と働くときに起こりうる問題と戦略」について。

私はソロモン諸島での経験に基づいてお話をしました。


以前同僚と何か意見が食い違って喧嘩をしたときに言われた言葉、

'Chihiro, It is your world, but here is our world'

と言われてショックだったことを今でも深く覚えています。
この言葉を聞いて、私はこの国ではアウトサイダーなのだということをよく実感しました。



仕事上で直面した特に大きな問題2つは、
・Language barrier (言葉の違いによる壁)
・Lack of punctuality (時間にルーズ)

ということ。


まず言葉の問題はやはり異なる文化に入った時に一番初めに感じる問題だと思います。
最初の頃に現地の言葉が通じなくて、
他の看護師を出してほしいと言われたときは本当に悲しかったな・・・。

できるだけ早く現地の言葉を習得し、使うようにました。
また、日本のような空気を読むという力は全く通用しないため、
とにかく会話を通して、同僚とも患者さんとも意思疎通を取るようにしました。


そして、時間を守らないということに関しては、活動の最後の最後まで悩んでいました。
無断で何日も仕事に来なかったり、突然早退することは当たり前、
約束をしても5時間待つことはよくあったし、約束なんてないようなものだった。
公共機関はタイムテーブルがないし、最高9時間も炎天下の下で来るか来ないかわからないバスを待ったことも。

仕事に行くと、突然ストライキを起こしていて何日も仕事ができないこともあった。


ストライキのお知らせ*



でもソロモンでは時計を持っている人は少ないし、持っていても時間が合っていないし、
村に行けば自分の影の長さを見て時間を把握している人もいて・・・

逆に時間を守るという「時間」とは何だろうと疑問を感じるようになりました。
そもそも時間にいつも追われている自分は誰かに常に縛られて生きているのではないか?とも。

これらの文化的違いを克服するために2年間試行錯誤の毎日だったのですが、
最終的に大切だな、と思ったことは6つあります。

それは、
Respectful to others (相手を敬う)
Understand the cultural difference (文化の違いをよく理解する)
Adapt to culture (彼らの文化に染まってみる)
Share culture each other to establish cultural reciprocity (お互いの良い部分をシェアをしお互いの利益とする)
Compromise (妥協する)
Don't force (自分の文化を押し付けない)

ということでした。

ソロモンの看護師ならではの技術や彼らの持っている良さを理解しながら、
ソロモン人と一緒に生活をすることで彼らの文化に溶け込む努力をし、
私のアイディアを押し付けるのではなく提案し、
どうしてもお互いの意見が合わずに平行線になってしまうと、
妥協点を話しあって見つける。

という方法で2年間をやってきたなぁと思います。

外国人が支援で介入する際に
特に彼らの文化をリスペクトをしない限りは継続性のある支援にはつながらないというのはよく肝に銘じていました。
それは日本人に対してもそうだけれど他人の行動を変えたり正したいときは、
無理矢理力で押さえつけて変えさせても意味がなくて、
本人の心が変えられるように努力をする必要がありますよね。

プレゼンテーションは2年間を整理するのに良い機会となりました。




*ビーチの上のストライキ

彼らのストライキ(給料が定期的に払われないため)に参加をしてみることもありました。
といっても、ビーチでBBQしながら愚痴を言うという、
なんともソロモンらしい方法だったのですが。



来週もディベートとゼミでの研究進捗状況の発表があります。

大学院生はとにかく、常に課題と締切に追われているようです。