大学院で国際保健について研究しています。

タイの留学のこと、パプアニューギニアでの魔女狩りのこと。


*インド門前にて*

こんにちは。
今週も終わってしまいますね。
何をやっていたのかなぁ・・と振り返ると、
睡眠と食事とランニング以外はほとんど勉強していたような気がします。
でも今週は週に5日ランニング(3-5km)をすることができ、体調もとても良好です。





◎ここ最近の出来事◎


①マヒドン大学への留学決定

正式に合格通知を頂きまして、
タイのマヒドン大学の公衆衛生大学院への留学が決まりました。
我が大学としては初のマヒドンの公衆衛生大学院への交換留学プログラムということで私が初めての交換留学生のようであります。

実は1年くらい前からマヒドン大学に行きたいという旨を教授に伝えてアピールをしてきました。
入学前から留学に関わる書類を気合入れて書きました。

このプログラムは2ヶ月という短い期間なのですが、
アジアのNCD研究や公衆衛生の研究に関して世界的権威のあるマヒドン大学で学べることはとても価値のあることだと思っています。
また大学が渡航費、学費、生活費等捻出してくださるのでなんともありがたいプログラムです。

マヒドンでの2ヶ月ではフィールド調査をしようと考えていて、
現在タイの調査に向けた研究計画も立てているところです。
来年のソロモンの本調査に向けて良い勉強になるようにタイでも頑張りたいと思います。

今はソロモンとタイの研究を並行しているため、
苦しいところではあるのですが、
どちらに偏ることなく優先順位を決めながらやっていきます。


②同級生とのお食事会

最近はタイのチェンマイから来た留学生を囲う会をしました。
研究室の同期と、タイとネパールの留学生と、指導教授も出席してくださいました^^

研究室の同級生と話せて楽しかったし、
久しぶりに勉強以外の内容で英語を話せて楽しかった・・・。
そうそう、英語ってコミュニケーションをとるためのツールなのです。

決して机にかじりついて必死に頑張って頭に無理やり単語を入れるだけものではないはずなのです。
ここ最近はIELTSの勉強や難しい文献の山やプレゼンテーションのための英語浸けにげんなりしていたので、
久しぶりに生きた英語が使えて楽しい!と思えました^^

以前友人に言われました。
'English is alive!'
英語は使うものなのです!



(文字ばかりのブログなのでインド旅行の写真を挟んでみます・・・)


NHK world

最近ネパール人のお友達に勧められて、NHK worldのニュースを聞くようにしています。
(web: http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/news/

一日中NHKworldのニュースやその他の興味がある番組(文化紹介や料理教室も!)がリアルタイムで配信されていていつでも見ることができます。
番組によっては英語字幕がつくものもあるし、リスニング勉強には良いのではないでしょうか。
私は家にテレビがないから最近はこのニュースを見て情報を得ています。
無料だし常に何かの番組がやっているしとても便利なサイトです!

④今週のディベート

先週はパプアニューギニアにて今でも行われている呪術や黒魔術を題材にしてディベートが行われました。

パプアニューギニアは、南太平洋にあるソロモン諸島の隣の島国です。
国民の9割以上がキリスト教徒なのですが、実際には古くからの精霊信仰が根強く残っています。

つまり、
体調が悪くなった=病気が原因という思考回路ではなく、
体調が悪くなった=「何者かの呪術によって呪われた」というような考え方をしているようです。

そんなパプアニューギニアでは問題になっているのが魔女狩りという名の殺人事件です。

パプアニューギニアでは現在でも魔女狩りが行われています。
それも、警察官が現場にいながら、逮捕すら出来ていないというケースが多くあります。

政府が2013年に法律で魔女狩りによる殺人を禁止したにもかかわらず、
現在になっても魔女狩りが多発しています。

2013年2月、ある男の子が病院で亡くなりその原因が20歳の女性が魔術を使ったせいだと遺族が告発したために、村人の一部が暴徒と化して、
公衆の面前で女性を拷問、最終的には焼き殺すという痛ましい事件が発生しました。

このとき、警察官も現場に居合わせたものの暴徒が50名以上、また数百名の見物客がいたために、制止することができなかったそうです。

その他にも2013年4月、元教師をしていた人物が死亡した原因が、高齢の女性2人が魔術を使ったせいだということで、彼女たちは拉致され3日間にわたって、遺族らから拷問を受けた上で、首を切断されて殺害されてしまいました。

どちらも非常に痛ましい事件なのですが、基本的な構造は似ています。
誰かが亡くなり、その亡くなった原因として、誰かが呪術をかけたせいだと考え、
るで生け贄であるかのように、ある女性が指名され、
遺族だけではなく多くの暴徒によって、拷問殺害されているのです。

ディベートでは、「呪術を使うことを止めるべきかVS止めないべきか」
という立場に分かれて話し合いました。


調べていくと色々な問題点が考えられました。

(1)
パプアニューギニアでは
医療水準が大変低いこと、平均寿命や妊産婦死亡率、乳幼児の死亡率などが
アジア太平洋地域の中でもとても低いことが分かりました。
古くからの精霊信仰が根強く残っているために西洋医療が定着していないことが原因だと考えられます。その他にも政治的な資金運用の問題など色々ありそうですが・・・。

(2)
また、パプアニューギニア人のハンター精神が根強く残っており、部族間の争いが絶えず、弱肉強食、闘争心が強いということも原因となっているということも考えられました。

その闘争心を発散するために、
誰か大切な人が亡くなったことを呪術のせいにし魔女狩りをすることで、都合よく他人を傷つけることができるという考えがあるということです。

つまり
ただ理由もなく生けにえを探し殺人をするいうと大きな罪に問われるしキリスト精神的にも認められないが、
「魔女狩り」という名目の殺人だと社会的に認められているということです。

(実際には法律で禁止されているのですが、社会的には今でも認められているようです)




文化によって病気という概念がここまで違うということに驚きました。
今回のディベートテーマを通し、
医療制度の水準や国の経済発展の指数の見方なども学びました。

そして、
発展途上国における医療水準の低さはただ単に「貧困」が問題であるというわけではないということがよくわかりました。
医療水準の低さのその根底にあるものは、はっきりとデータとしては見えない深い文化が関わる問題が根付いているようです。

これもまた、よい学びに繋がったと思いました。




*像が当たり前に道路を歩いているインドの文化*


参考資料

http://www.irinnews.org/report/100040/witchcraft-and-png-s-disappearing-health-service
http://www.dw.de/un-urges-papua-new-guinea-to-halt-witch-hunting/a-17709745
http://www.abc.net.au/news/2015-01-15/png-witchcraft-killings-must-stop-say-community-elders/6018798